うまい日本酒によくあるラベル用語【簡単解説】
ここでは一般にも実体験的にもうまかった日本酒に共通するキーワード、用語を解説しています。日本酒を探す時に精米歩合や酒造好適米だけでなく、こうした記載も合わせて考慮・検討してみて下さい。想像以上の逸品に出会えることがあります。
うまい日本酒に共通するキーワード解説
無濾過
日本酒の元となる「醪」などから加水や火入れをしていない状態の日本酒のこと。醪・澱まるごと入っているものもあれば、一応濾し取りはしたけど火入れや加水はしていないものもある。一般的に火入れは2回やって火入れになるようだが、火入れを1回のみにして火入れしていないと称する所もあるような…ないような…。
生酒(なま生)
醪や澱は濾し取って、火入れをしていないまま瓶詰め・販売されているものを生酒という。火入れをしていないので中に酵母菌などがそのまま残っている。火入れをすると辛さが増し、甘さは減る傾向にある。生酒は甘くて、独特の味わいを持つことが多い。一度に飲みすぎると下痢になりやすい。
原酒
加水をしていない日本酒のこと。加水をするのはアルコール度数を飲みやすい11度~15度前後に抑える目的がある場合も。加水していないからおいしいかというとそうでもないし、加水したからおいしいかというとそうでもない。生原酒は、加水も火入れもしていないものを指し、生酒と意味はほとんど同じ。
荒走り
醪・澱を濾し取る工程で、お酒自身の自重に任せて、最初の搾りたてのものを荒ばしりという。搾りたてで若干薄く濁ることが多い。機械で強制的に絞ることはそんなになく、醪や澱が混ざってしまうこともあるので、少しにごりやすい。
中取り(中汲み)
醪・澱を濾し取る段階で、最もお酒が落ち着いて絞られている中間頃のものを中取り、または、中汲みという。濾す作業の仕組みから醪自身が濾す目の役割になって自然には絞りきれなくなってくる。そのため、手動で、または、機械で絞り始めるその時の、最も味や香りが安定する段階に絞られたもののこと。
責め
醪・澱を限界ギリギリまで絞った時に最後の最後に絞り出されるのが「責め」という。醪の持つ味わい・複雑さが一緒に出て、ものすごくおいしくなる場合と、なんかまずくなる場合がある。この責めが好きな酒呑みは変態かもしれない。
ひやおろし
出来上がった日本酒を夏の間、酒蔵で貯蔵しておいて、秋ごろに出荷されてくるものを冷やおろし(秋あがり、とも)という。冷えているわけではなく、大昔、冷蔵庫がなかった頃の話では冷えているとも言える状態で蔵から出てくるので「ひやおろし」と呼ばれた認識で合っている?おいしいかどうかはその年の出来栄えによる。
生一本
ひとつの醸造所だけで醸造した日本酒のこと。精米や、途中の熟成段階で他社を頼らず、酒蔵のみで全部やっているものを生一本という。純米酒でないと生一本とは名乗れない酒税法の決まりがあるので、大吟醸は生一本は名乗れない。
うすにごり(おりがらみ)
目の荒い布で濾すなどして、醪・澱を混ぜている日本酒のことをいう。独特の甘さや旨味が出てコクも出るかもしれない。米っぽい味わいが強くなる上に、色が白濁、白色半透明になるので見た目だけでも分かりやすい。日本酒が白く濁っていれば、基本的には全部うすにごり(おりがらみ)と言っていいだろう。
貴醸酒(再醸仕込み)
醪の仕込みを既にできている日本酒で仕込んでできた日本酒。貴醸酒は商標登録(広島呉市:榎酒造)されていて、貴醸酒協会に加盟している蔵で、条件を満たしていないと名乗れない。貴醸酒と再醸仕込みは同じようなもの。貴醸酒協会に所属しているかしていないかの違いだけ。
古酒
明確な定義はないが、3~5年以上長期熟成されていれば古酒と考えて良い。薫酒・爽酒・醇酒・熟酒など日本酒造組合中央会が提案している味わいの表現などはありますが、あくまで提案程度のもの。25年、40年古酒の日本酒なんかもあるので、飲んでみないと何も言えない。飲んだもののみに許される表現がある。
一度開封した日本酒に関しては、酢酸菌のコンタミなどにより酢になる可能性はある。酒蔵で作ってそのままで、開封も何もしていないまま長期間瓶内保管されていて古酒になることもある。基本的に飲んでも問題はないが、おいしくなっているかどうかは定かではない。
密閉できなかった大昔には酢酸菌のコンタミも起こり得ましたが、近年の酒造りではよほどのことがないとコンタミはしないと思われる。