酢酸イソアミルとは【バナナやメロンのような香り&清涼】

2021年12月8日日本酒概要

酢酸イソアミル(isoamyl acetate)は、化学式C7H14O2、分子量130.18、密度0.876 g/cm3で、常温15度で無色透明の液体で、バナナ・メロンのような香りの元として有効活用されており、日本酒では広島のKA-1-25株、C75株などを用いて効率的に製造されます。




酢酸イソアミルの概要

酢酸イソアミル(isoamyl acetate)は、化学式C7H14O2、分子量130.18、密度0.876 g/cm3で、常温15度で無色透明の液体、危険物第四類・第2石油類に分類され、日本酒においては、バナナ・メロンのような香りの元として有効活用されています。別名、酢酸イソペンチル(isopentyl acetate)、酢酸3-メチルブチル(3-methylbutyl acetate)とも。

 

純米・純米吟醸に多い

香りの傾向から判断すると、純米酒や純米吟醸は酢酸イソアミル由来の香りを持っている事が多いです。純米大吟醸になると青りんご系(カプロン酸エチル)の香りも出てきて、また別の成分が関係してきます。

 

日本酒には多くても数ppm、それよりも少ない量しか含まれていないため、人体に影響のあるほどの量は日本酒には含まれません。

 

精米歩合60%以下の日本酒で多く、低温発酵された場合に生じる事が多いともいわれています。

 

酢酸イソアミルを多く生成する酵母菌株

広島県の発表において、食品工業技術センターの「広島県オリジナルの酢酸イソアミル高生成清酒酵母菌株の取得と選抜」によると

  • KA-1-25株
  • E-04株
  • E-09株
  • C75株

など酢酸イソアミルを多く生成する菌株が開発されています。C75株は特に官能評価や生成成分の関係で特に優れているとのことです。このC75株は「広島令和1号酵母」と名付けられて既に販売されています。

 

C75株生成の味の特徴

KA-1-25株に比べると酸味が出やすいようで、清涼な日本酒になりやすいとの見解があります。バナナやメロンのように甘くフルーティーな香りを持ちながら、清涼さも出せる可能性がある株として、酒造好適米との組み合わせによっては、さらに多くの人に飲まれやすい日本酒製造に役立つはずです。

 

出典・参考

広島県オリジナルの酢酸イソアミル高生成清酒酵母菌株の取得と選抜

https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/26/r02happyo3.html

清酒酵母の香気生成機構

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jao/46/5/46_346/_pdf

安全データシート

https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/123-92-2.html

Formation of ethyl acetate and isoamyl acetate by various species of wine yeasts

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0740002002001016

Enzymatic synthesis of isoamyl acetate using immobilized lipase from Rhizomucor miehei

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0168165600004326

The production of isoamyl acetate using immobilized lipases in a solvent-free system

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0032959202000997

 

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Posted by 日本酒愛好家