日本酒度とは【甘口・辛口の程度のこと】
日本酒度とは、15度の日本酒に対し、日本酒度計(ボーメ度浮標|日本酒度浮標)を使用して測定される数値のこと。含まれている糖の量で変化する比重を元に測定しており、甘口はマイナス(ー)に、辛口はプラス(+)の数値を取るようになります。
日本酒度とは
簡単に一般向けに言えば、日本酒の甘さと辛口加減を示す数値です。
- 甘口はマイナス(ー)
- 辛口はプラス(+)
になっていると考えておいてあらかた困ることはないです。
国税庁の定義
日本酒度は清酒の比重を換算した値です。日本酒度とアルコール分から清酒中のエキス分(ほとんどが糖分です。)を計算することができます。日本酒度の低い清酒は一般的にエキス分が多い甘口な酒である一方、日本酒度の高い清酒は一般的にエキス分が少ない辛口な酒です。
国税庁による日本酒度の定義はこのようになっています。エキス分が多いか少ないかで判断される部分もあり、同じく比重を換算した値だとのことです。
日本酒度の測定
日本酒度は日本酒度計(ボーメ度浮標|日本酒度浮標)を使用して測定されます。
日本酒度 = (1/比重-1) × 1443
日本酒度 = (-10) × ボーメ度
ボーメ度浮標を使用して測定後、日本酒度を算出してもよいですが、日本酒度浮標を使用しても測定可能です。この2つの数値には関係性があり、どちらかが分かれば、どちらかを算出できます。
市販のお酒の日本酒度
国税庁が、令和元年7月から令和2年6月に、製造者全体のおよそ4分の1に当たる数の製造者(1,945者)に対して行った調査によると、日本酒度と甘辛度は
- 一般酒:(日本酒度)+3.8(甘辛度)-0.11|辛口
- 吟醸酒:(日本酒度)+3.1(甘辛度)-0.23|やや辛口
- 純米酒:(日本酒度)+3.9(甘辛度)-0.47|甘口
- 本醸造酒:(日本酒度)+4.6(甘辛度)-0.31|やや甘口
であり、調査の範囲内では日本酒度の平均は「+3.85」でした。これよりも日本酒度がマイナスによっていれば甘口、プラスに大きくなっていれば辛口だと判断できます。
山梨の日本酒度や成分分析
以下、全国と山梨の日本酒の成分分析比較です。
↑全国と山梨の一般酒↑
↑全国と山梨の吟醸酒↑
↑全国と山梨の純米酒↑
↑全国と山梨の本醸造酒↑
山梨の日本酒・一般酒と本醸造酒の日本酒度は数値が高めで辛口が多く、吟醸酒・純米酒は数値が低めで一気に甘口になる感じです。甘辛度と濃淡度にも明確な差がありますが、ここでは割愛します。こうした数値の違いからも分かるように、日本酒の味わいは各地で全く異なっていて、傾向が違います。
日本酒度の変化推移(一般酒と特定名称酒)
平成9年から令和元年に至るまでの日本酒(一般酒)の日本酒度の変化の様子はこの図のようになっており、平成19年頃までは上昇傾向にありましたが、それ以降はほぼ横ばいです。直近20年で日本酒度は少し上昇して、エキス分の少ない辛口よりの日本酒が増えていると言って良いでしょう。
特定名称酒では、日本酒度は若干減少傾向にあり、特に吟醸酒は日本酒度は下がり続けています。吟醸酒や純米酒は比較的甘口で飲みやすいものが多く、消費者の好みに合わせるかのように推移しているようにも考えられます。
辛口よりの日本酒(一般酒)が増えているけれど、純米大吟醸のように水っぽさや甘さ、華やかさを感じるお酒がよく好まれているのは、エキス分は少ないながらも透き通った味わいが好まれているということでしょう。エキスが多いと様々なクセも出てくる気がします。
精米歩合が低い40%~60%程度のものが人気なのもあって、エキス分は減っているという認識で間違いないでしょう。実態と統計数値が一致しているように感じます。
甘辛度と濃淡度について
(甘辛度・濃淡度)
甘辛度と濃淡度は、佐藤信ら(醸協,第69巻,774-777(1974年))による日本酒度と総酸から計算できる味の指標です。
<甘辛度・濃淡度の計算式>
甘辛度=193593/(1443+日本酒度)-1.16×総酸-132.57
濃淡度= 94545/(1443+日本酒度)+1.88×総酸- 68.54
甘辛度の数値が高い(低い)ほど甘口(辛口)であることを、濃淡度の数値が高い(低い)ほど濃醇(淡麗)であることを示しています。
出典:https://www.nta.go.jp/taxes/sake/shiori-gaikyo/seibun/2010/01.htm
日本酒の味わいを判断できる指標として、甘辛度、濃淡度というものもあります。日本酒度とはまた別の指標で、必ずしも数式で示せない場合もある(計算値と測定値に差が出ることがある)ようです。
全国の日本酒(一般酒)の甘辛度を示している図表です。この様子から判断すると甘口(数値が高い)の日本酒が多いのは
- 広島
- 岡山
- 大分
- 佐賀
- 長崎
といった地域の日本酒です。
全国の日本酒(一般酒)の濃淡度を示している図表です。この図表から見ると、数値が「-1.0」よりも低い地域はより淡麗な味わいで
- 青森
- 宮城
- 滋賀
- 大阪
- 兵庫
- 山口
あたりの日本酒が淡麗(爽やか、さっぱり、すっきり、水のように飲みやすい)です。
全国の甘辛度・濃淡度比較表
日本酒度の話とは離れますのであまり深追いしませんが、全国の日本酒(一般酒)の甘辛度、濃淡度を比較している表です。参考までに。
参考・出典
全国市販酒類調査結果|令和元年度調査分
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/shiori-gaikyo/seibun/2020/pdf/001.pdf
全国市販酒類調査の結果について|平成22年12月
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/shiori-gaikyo/seibun/2010/01.htm
菊正宗|第5巻 品質管理
https://www.kikumasamune.co.jp/toshokan/05/05_06.html
月桂冠|「日本酒度」「酸度」「アミノ酸度」とは何を表す数値ですか?甘辛と酒質
https://www.gekkeikan.co.jp/enjoy/qa/sake/sake05.html
瀧酒研究会
http://www.nada-ken.com/main/jp/index_ni/318.html