清酒・日本酒・御神酒の違い|大吟醸・純米大吟醸の違い【新酒税法・改正他】特定名称

2022年1月19日日本酒概要

酒税法に基づく、清酒・日本酒・お神酒の違いの解説ページ。新酒税法などから、2021年時点では清酒=日本酒、御神酒は神様にお供えする日本酒と定義されます。御神酒も清酒も日本酒ですが、正しい表現をすると「日本酒も御神酒も清酒です」というのが正しいですが、一般にはどれも日本酒という認識でOKです。




清酒とは

清酒は、旧酒税法では以下の条件を満たすものを指していた。

酒税法(昭和二八・二・二八法律第六号)(抄)

(その他の用語の定義)

第三条 この法律において、左の各号に掲げる用語の定義は、当該各号に定めるところによる。

(略)

七 清酒 次に掲げる酒類でアルコール分が二十二度未満のものをいう。

イ 米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの
ロ 米、米こうじ、水及び清酒かすその他政令で定める物品を原料として発酵させて、こしたもの(その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が米(こうじ米を含む。)の重量の百分の五十を超えないものに限る。)
ハ 清酒に清酒かすを加えて、こしたもの

引用元:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=328AC0000000006


酒税法施行令(昭和三七・三・三一政令第九七号)(抄)

(清酒の原料)

第二条 法第三条第三号ロに規定する清酒の原料として政令で定める物品は、次に掲げるものとする。ただし、第二号に掲げる物品については、米、水及び米こうじとともに清酒の原料とする場合に限る。

  1. 一 麦、あわ、とうもろこし、こうりゃん、きび、ひえ若しくはでんぷん又はこれらのこうじ
  2. 二 アルコール(法第三条第五号の規定(アルコール分に関する 規定を除く。)に該当する酒類(水以外の物品を加えたものを除く。)でアルコール分が三十六度以上四十五度以下のものを含む。以下同じ。)、しょうちゅう(水以外の物品を加えたものを除く。第五十条第三項及び第四項並びに第五十六条第二項第一号及び第三項を除き、以下同じ。)ぶどう糖、水あめ、有機酸、アミノ酸塩又は清酒

引用元:https://www.nta.go.jp/about/council/sake-bunkakai/021127/shiryo/07a.htm

国税庁が法律で定義しているものでは、原料に

  • あわ
  • とうもろこし

などを使用していても、一応清酒(醸造酒)の分類には入る。ただし、基本的には「米を原料にしたもの」が清酒であるという感覚で間違いありません。焼酎はそもそも蒸留酒で、原料も異なるので、清酒には分類されません。

 

清酒では、お米を多く、ほんの少し麦が入っていてもOKだけど、麦などを入れた場合は、日本酒とは言えないため、清酒と書かないといけないという認識だったのでしょうか。

 

日本酒とは

新酒税法では、清酒の、品目の例外表示として「日本酒」と言って良いという定義なため「清酒=日本酒」です。

七 清酒 次に掲げる酒類でアルコール分が二十二度未満のものをいう。
イ 米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの
ロ 米、米こうじ、水及び清酒かすその他政令で定める物品を原料として発酵させて、こしたもの(その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が米(こうじ米を含む。)の重量の百分の五十を超えないものに限る。)
ハ 清酒に清酒かすを加えて、こしたもの

大きい分類では、清酒も日本酒もほぼ同じものですが、日本酒は米のみを使用して「濾す」工程を経ているものに限定されます。

 

新酒税法では

その他政令で定める物品

というものが無し(除外)になったようで、清酒=日本酒という認識で良いでしょう。

 

日本酒の種類(特定名称)

引用元:特定名称の清酒の表示

日本酒の特定名称酒として、日本酒にはアルコール度数や精米歩合、製造方法によって、名称が異なる種類が存在します。

  • 吟醸酒
  • 大吟醸酒
  • 純米酒
  • 純米吟醸酒
  • 純米大吟醸酒
  • 特別純米酒
  • 本醸造酒
  • 特別本醸造酒

という8種類に分類されます。味に関しては精米歩合が低いほうがお米臭さが減るイメージはありますが、吟醸造りをしていると精米歩合が50%以上でもものすごく飲みやすいくておいしい日本酒ができます。

 

用語の解説

以下、引用を用いつつ用語を解説しています。

精米歩合とは、白米のその玄米に対する重量の割合をいいます。精米歩合60%というときには、玄米の表層部を40%削り取ることをいいます。

こうじ米とは、米こうじ(白米にこうじ菌を繁殖させたもので、白米のでん粉を糖化させることができるもの)の製造に使用する白米をいいます。

醸造アルコールとは、でん粉質物や含糖質物から醸造されたアルコールをいいます。

吟醸造りとは、吟味して醸造することをいい、伝統的に、よりよく精米した白米を低温でゆっくり発酵させ、かすの割合を高くして、特有な芳香(吟香)を有するように醸造することをいいます。

精米歩合は、お米をどれくらい削ったか、麹米は麹菌がついたお米、醸造アルコールは発酵で出てきたアルコールのこと、吟醸造りは工夫して愛して香りが良くなったお酒に使うもの、という認識です。

 

御神酒(おみき)とは

御神酒は、神様にお供えする目的の日本酒、その土地でできたお酒全般を言うもので、結局は日本酒で、清酒です。土地によっては焼酎、ワインをお供えする場合もあります。その土地で、その土地神様に捧げるお酒としてふさわしいものが選ばれます。

 

その清酒の使用目的がお供え目的であれば御神酒、自分たちで飲むようであれば日本酒と呼ぶ感覚です。どんな純米大吟醸でも、神様へのお供え向けにすると「御神酒」になります。

 

御神酒を頂く際の作法

神社や神聖な場で御神酒を頂く場合には、神職の方々から事前に説明があります。たいてい「盃(さかずき)」という口の広い器に御神酒を注いでもらって、数回に分けて飲み干し、丁寧にお返しするという流れが一般的ですが、地域によってやり方が細かく異なっています。

 

ネット上で「こうすべきだ」と言われているマナーやルールではなく、その儀式を行う時の神職の方が言うやり方に従って御神酒を頂きましょう。

 

御神酒を飲むタイミング

御神酒として市販されている日本酒は、いつ飲んでも特段問題はありません。中身はごく普通の日本酒です。

 

大切なのはそれをお供えする期間とタイミングかと、個人的には思います。例えば、

  • 大切な人から贈って頂いた御神酒ではない日本酒を神棚に1ヶ月お供え
  • 一粒万倍日&天赦日に開封して家族で頂く

というように、一般家庭でも家族の門出や、特別なタイミング、年末年始などには、平静に、落ち着いて開封して丁寧に頂く形であればよいのではないかと思います。

 

ご先祖様の仏壇にお供えしていた場合、ご先祖様が酒豪だったのであればちまちま飲むより豪快に飲んだほうがご先祖様もニンマリされると思いますので、この辺は各家庭の事情に合わせて、で良いと思います。

 

人気のない山の神社に御神酒をお供えしていいの?

例えば、地域の守護神として祀られている丸石道祖神とか、お地蔵様、山の上の方に行く途中にある長い階段を登ってたどり着ける人気の一切ない白山神社とか熊野神社とかに御神酒がお供えされていることがあります。

 

賽銭箱もない、お供えする台もないような場所もあります。

 

私個人の感覚では、丁寧にできるのであればお供えして良いと思います。後片付けのこととか、獣の心配とか、ゴミのこととか大丈夫なのだろうか…という議論すべき点が多々ありますが、この場合の御神酒は、人がほとんど来ない山の神への献上品、人知れず交通拠点を守る道祖神への献上品で奉納品で、宗教的な意味合いが強くなります。

 

こういう場合、可能であれば、日本酒ときれいなお花をお供えして、1日後とか、1週間後とかに日本酒の未開封のものはお供えした人が回収して、ご自身で飲む、で良いと思います。神様はこちらのヒトの世界とは別次元で御神酒を楽しまれたはずなので、こちらの人の世の酒は人が飲んで無駄のないようにしましょう。

 

お花もその時に回収して、新しいのをお供えし直し、また回収して、お供えし直し、を繰り返すのがベストな方法ではないかと思います。

 

その時、気になるゴミや落ち葉、汚れがあったらお掃除していってもよいかと思いますが、灯籠を倒してしまったり、傷をつけてしまうような掃除はNGかと思いますので、ほこりや砂をやさしくはらうくらいにして、あとは自然のなすがままにしておいたら良いと思います。

 




参照リンク

酒税法における「清酒」の定義|国税庁

https://www.nta.go.jp/about/council/sake-bunkakai/021127/shiryo/07a.htm

日本酒造組合中央会

https://www.japansake.or.jp/sake/know/what/02.html

「清酒の製法品質表示基準」の概要

https://www.nta.go.jp/taxes/sake/hyoji/seishu/gaiyo/02.htm

 

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Posted by 日本酒愛好家