酒粕の栄養素と効能【スーパーフードかも】米麹と酒粕の違い

2023年6月14日日本酒概要,特集

本ページでは、酒粕・米麹に含まれている栄養成分を表でまとめています。日本食品標準成分表2020年版(八訂)を基準に、100g中に含まれる栄養素、及び、栄養素ベースでの作用や効能についても少し解説致します。何事も適量を摂取することを大切に、日本酒の副産物も使い切りましょう。

 

酒粕の栄養成分表

酒粕100gに含まれている栄養成分は以下の通りです。

エネルギー215kcal役割
水分51.1g全てにおいて必要
タンパク質14.9g血液・骨・肉の生成
炭水化物19.3gエネルギー源
食物繊維5.2g便秘改善等
脂質1.5gホルモン生産・エネルギー貯蓄
アルコール8g~9g 酔っ払う
ナトリウム5mg水分バランス調整・栄養素輸送
カリウム28mg血圧を下げる・塩分調整・むくみ低下
カルシウム8mg筋肉収縮支援・神経作用安定
マグネシウム9mg酵素の活性化・各所のバランス調整
リン8mg骨や歯の一部
0.8mg血液系支援
亜鉛2.3mg酵素の活性化・ホルモン合成・免疫支援
灰分0.5g 
ビタミンB10.03mg炭水化物代謝の支援
ビタミンB20.26mg脂質代謝の支援・細胞の再生や新生
ナイアシン2mg補酵素・アルコール代謝・DNA修復
ビタミンB60.94mg免疫系と皮膚系強化・肝臓機能支援
葉酸170μg赤血球増産・核酸生合成・発育支援
イソロイシン(BCAA)660mg肝臓支援・疲労回復・血管拡張
ロイシン(BCAA)1400mgタンパク質処理・筋肉支援
アラニン1000mg脂肪とアルコールの代謝支援
フェニルアラニン800mg~2140mgノルアドレナリンとドーパミン合成
チロシン810mg~2330mgノルアドレナリンとドーパミン合成
グリシン770mg~2010mg運動感覚系の調整・肝臓解毒支援・胆汁分泌
リシン690mg~1230mg肝機能支援・免疫系支援
メチオニン640mg~1370mg抗酸化作用支援・エネルギー産生支援
シスチン510mg~1030mg解毒と抗酸化作用支援
トレオニン680mg~1750mg肝臓支援・コラーゲン生成・胃炎抑制
トリプトファン200mg~541mgセロトニン生成・自律神経系調整
バリン(BCAA)940mg~1490mg筋肉系エネルギー代謝支援・肝機能向上
ヒスチジン420mg~704mg集中&記憶力向上・ヒスタミン生成
アルギニン1100mg~2480mg血管拡張・アンモニア除去・免疫系支援
アスパラギン酸1500mg~4070mg利尿作用・乳酸分解・疲労回復
グルタミン酸2700mg~6570mg脳機能活性化・アンモニア除去・利尿作用
プロリン690mg~1910mg皮膚保湿・コラーゲン生成
セリン970mg~2370mg皮膚保湿・脳神経系支援

栄養成分表にある通り、酒粕は

  • 水分50%
  • 炭水化物25%(食物繊維5%)
  • タンパク質15%
  • 脂質1%

という構成で、白米と比べるとカロリーは3分の2、タンパク質は2.5倍、炭水化物は3分の1、アミノ酸は3倍から10倍ほどに変わっています。

 

白米・米粉よりは低糖質で高タンパク

米粉と酒粕のどちらかを使うならば、酒粕のほうが炭水化物が少なく低糖質で、アミノ酸は増えているため、アルコールが完全に飛んでいる酒粕であればスポーツマンやダイエット中の方にもおすすめの食材です。

 

アルコールが含まれるので処理必須

酒粕は、白米を発酵させた後の絞り粕なので、酒粕100g中、アルコールが8gほど含まれます。パン、クッキー、カップケーキなどに使用する場合は加熱していればアルコールはほとんど飛びますし、既に処理されている酒粕を買っている場合はアルコール含有量はほとんど気にしなくても良いでしょう。

 

米麹の栄養成分表

米麹100gに含まれている栄養成分は以下の通りです。

エネルギー260kcal役割
水分33g全てにおいて必要
タンパク質10.4g血液・骨・肉の生成
炭水化物59.3gエネルギー源
食物繊維1.4g便秘改善等
脂質1.7gホルモン生産・エネルギー貯蓄
ナトリウム3mg水分バランス調整・栄養素輸送
カリウム61mg血圧を下げる・塩分調整・むくみ低下
カルシウム5mg筋肉収縮支援・神経作用安定
マグネシウム16mg酵素の活性化・各所のバランス調整
リン83mg骨や歯の一部
0.3mg血液系支援
亜鉛0.9mg酵素の活性化・ホルモン合成・免疫支援
0.16mg 骨&骨格筋の成分・活性酸素除去
マンガン0.74mg血液生産&消化補助
灰分0.3g 
α-トコフェロール0.2mg抗酸化作用・生体膜支援
ビタミンB10.11mg炭水化物代謝の支援
ビタミンB20.13mg脂質代謝の支援・細胞の再生や新生
ナイアシン1.5mg補酵素・アルコール代謝・DNA修復
ビタミンB60.11mg免疫系と皮膚系強化・肝臓機能支援
葉酸71μg赤血球増産・核酸生合成・発育支援

米麹は、蒸したお米を麹で発酵させたもので、日本酒・味噌作りなどの最初の一歩となるものです。

  • 水分33%
  • タンパク質10%
  • 炭水化物60%

という構成で、ここから酵母菌や乳酸菌によるアルコール発酵が進むと日本酒になり、絞り粕は酒粕となります。日本酒を作る場合は、麹菌による発酵、酵母菌の発酵と乳酸菌の存在を同時に行わせる「並行複醗酵」が採用されることが多いです。

 

米麹はアルコールになる前の素材

米麹も発酵されたものですが、これをさらに発酵させると日本酒にある素材なので、米麹にはアルコールは含まれていません。

 

米麹の甘酒にはアルコール成分が含まれることはなく酒粕の甘酒には少しアルコールが含まれる可能性があるのは、この工程段階の違いがあるためです。

 

酒粕は日本酒作った後の絞りかす

栄養素的には「絞り粕」なんて言えないレベルのものですが、日本酒づくりの肯定的には、米麹→酒粕→もろみ→日本酒なので、酒粕の方があとに生産されます。その分、酵母菌、乳酸菌が関与して含まれる栄養素は酒粕のほうが多くなります。

 

米麹漬けでアルコールが出ることがある

米麹はまだお米の形を成している場合が多いためお料理に使うと、環境によってはアルコール発酵によりアルコールが出てしまう場合があります。米麹そのものにはアルコールはなくても、米麹をあわせた際に、酵母が含まれていた場合は発酵が少し進みます。

 

米麹そのものにアルコールがないから米麹漬けでアルコールが絶対に出ないは大間違いです。酵母があって、アルコール発酵が進む環境にあればアルコールは生産されます。

 

米麹漬けの食材のアルコールを飛ばしたければ80度以上の環境で加熱すればエタノール(沸点78.37度)は飛んでいきます。とりあえず麹漬けにした食材は一度煮沸すれば、アルコール含有量の心配なく食材に利用できます。麹漬けを子供が嫌うのは微弱なアルコールを感じるからかもしれません。

 

風味が変わるのは麹菌の作用

米麹をお野菜や食材に漬けておくと、麹菌がその食材の栄養素を消費して、別の物質に変えます。この過程でミネラルが減ったり、酵素ができたり、アミノ酸が増えたりする可能性があり、その作用で風味に変化が起こります。

 

酒粕・米麹はスーパーフード?

どちらかというと、酒粕の方がスーパーフードに近いですが、アルコールをほぼ完全に飛ばしてから使う必要があります。酒粕には麹菌・酵母菌・乳酸菌が関与しており、絞り粕のままではすべての菌がまだ混ざった状態で存在する可能性が高いです。

 

鮭の酒粕味噌漬けとかがめちゃくちゃ上手くなるのは、米麹・酵母菌・乳酸菌の関与で、米麹から大量のアミノ酸が生まれていることからも分かるように、鮭のタンパク質からアミノ酸・有機酸を生み出すからです。しかも、鮭は鮭なので加熱するためアルコールも飛び、若干タンパク質やアミノ酸の変性が起きたとしても旨味類は残ります。

 

スーパーフードという程のものではないですが、その名称に相当するほどの栄養素を持っているので、お料理に合わせられるなら合わせておいて損はない食材です。

 

酒粕はとってもエコ

酒粕は日本酒を作る過程で絶対に出てしまうもので、使う人がいなければ動物の飼料や肥料になってしまいます。

 

日本酒はお米を細かく削って、無駄な部分を生み出して作られている(精米歩合)というちょっと引け目を感じる部分がある方もいるかも知れませんが、酒粕をちゃんと消費していて、かつ、米ぬかも使っていれば、それほどお米をムダにしていることにはなりません。

 

米ぬか、酒粕、日本酒をあわせて堪能していれば、お米の無駄遣いはほとんどないとってもエコな食生活となりますので、遠慮なく日本酒を飲み、酒粕をお料理に使い、米ぬかできゅうりを漬けてバクバク食べましょう。

 

出典・参考

日本食品標準成分表2020年版(八訂)

https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html

食品番号: 17053 食品群名/食品名: 調味料及び香辛料類/<調味料類>/(その他)/酒かす

https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=17_17053_7

新素材成分分析情報

http://ecofeed.lin.gr.jp/ecofeed_test/new_com/

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Posted by 日本酒愛好家