善哉「女鳥羽の泉　蔵元秘蔵　純米大吟醸鑑評会出品酒」の味｜りんご・すもも系の香りに多角的な味わいがすんごい絶妙な日本酒

2022年1月19日特集

善哉酒造「女鳥羽の泉　蔵元秘蔵　純米大吟醸鑑評会出品酒」は、りんご・すもも系フルーツワインのような長続きする軽快な香りに、主役級の多角形な味わいを持ち、脂肪酸系マットな風味、アミノ酸系控えめな甘味、それっぽくいる酸味、エタノールの渋味が絶妙にバランスを取っている日本酒。

テイスティング・メモ

善哉「女鳥羽の泉　蔵元秘蔵　純米大吟醸鑑評会出品酒」の香り

りんご・パイン・梅・すもも系の混ざったミックスフルーティーな香りで、香り立ちが衰えず長くフルーティーな香りが響き続けるので心地よい。若干エタノール臭があって、時折目に染みる感じはするけど、香りの軽快さと明るさがあるのでキツくは感じない。

善哉「女鳥羽の泉　蔵元秘蔵　純米大吟醸鑑評会出品酒」の味

口当たり酸系のピリピリっぽい響きがあり、これが飲み込み終えるまでは続く。口の中で脂肪酸系のマットなこもった風味、アミノ酸系のほんのりやわらかい甘味が混ざりあって、味わい全体のバランスを取って、スパッと例えればすもものフルーツワインという印象があるが、日本酒でこの印象が出るのが珍しい。

時折味わいが軽く薄く感じるのは、以下公式サイトにもある水によるものと、酵母、精米歩合によるものかと思われる。

「平成の名水百選」の「まつもと城下町湧水群」の一か所として認定

出典：https://yoikanasyuzou.jimdosite.com/

重厚な味わい、複雑な味わいとも表現できるが、米の酒でこれだけ複数の味わいが出てくるのは、因数分解すると

• 山恵錦
• 使用酵母
• 水
• 精米歩合
• 醸し方

などが影響しているというのが一般的だが、たぶん、米とかではなく酵母だと思う。山恵錦は心白部が大きく、アミノ酸は少ないと聞いているので、実際飲んでアミノ酸っぽい甘味やこもった脂肪酸系の味わいがあるのは不思議。

湧き水「女鳥羽の泉」に含まれる成分、酵母（蔵付き？｜その蔵独自のもの）が合わさって酸味はあるのに、確かに甘さ（アミノ酸系）があって、脂肪酸のようなこもったマットでナッツな感じの響きもわずかにあって、エタノール由来の渋味・苦味が少しいて、バランスが取れている。

複数の味わいが、複雑に、適切に、飲み込むまでの間に、絶妙なタイミングで口の中を撫でていき、少し厚めの絹紙のように流れ込んでいって、後味もよく、精米歩合39%なのに水っぽい薄さはなくて、しっかり味覚を刺激しながら、透明感はあり、多くの味がある非常に勉強になるおいしさの出方をしている。

善哉「女鳥羽の泉　蔵元秘蔵　純米大吟醸鑑評会出品酒」の色

銀系ほぼ無色透明、写真では少し黄色が見えるが、ほぼ無色で真水と間違えるくらい。

体調の影響

良き縁があり、日本酒の贈り物しあいっこで頂いた日本酒（本当に有難い。感謝してもしきれない。）。イマドキの日本酒は水っぽさやフルーツっぽさを出すような所があるが、これは全く別で、ただのお米からこれだけの味わいを引き出せるという「お手本」のようなもの。

ほぼ透明な水に見えるのに、なんでこんないろんな味が出せてるんだ？っていう驚きと、サラサラした水みたいな見た目なのに、多方向に味を響かせる甘いシロップじゃん、って感じで神々しささえある。

頂きものであるという、お世辞の一切を抜きにして、おいしい。絶妙にクセがあるな…と感じる直前でそのクセっぽい味わいが立ち消えていき、次の味わいが来る。お米のお酒ってなんだっけ？ってなるくらいに、これまでの価値観をぞうきん絞りされるような味。飲みやすければいいってもんじゃないね。

善哉「女鳥羽の泉　蔵元秘蔵　純米大吟醸鑑評会出品酒」の詳細

※感想は個人の主観です。